私がコーチを務める富士通フロンティアーズが今週土曜日、プレーオフ準決勝で昨年の日本一オンワードスカイラークスに挑む。勝てば決勝へ、負ければ今シーズンは終了する。
大切な試合を控えて試合の準備をしているときに、毎日頭をよぎる言葉がある。そして試合開始前に私はその言葉を何度も思い返す。
「覚悟に勝る決意なし」
名将野村克也監督の言葉である。
「覚悟」とは「最悪の結果をも受け入れることの出来る心構え」だと解釈している。よく困った事態に陥ると「もう覚悟している」などと言ったりする。
「決意」とは文字通り「意を決する」「腹をくくる」という事である。
つまりこの言葉は「最悪の結果をも受け入れることの出来る心構えのある人が、最も腹をくくって堂々と勝負に臨める」ということなのだと解釈している。
本気で練習し、物凄い時間を費やして「勝ちたい」と努力してきた選手が「負けること」を容易に受け入れることなど到底出来ないし、「勝ちたい」という思いは強く心に刷り込まれている。しかしこの勝利への強い思いは時に「失敗したくない」とか「うまくやりろう」とかいろいろな「雑念」となり、よい結果につながらないことを数多く経験してきた。結局は「自分の力を出し切る以上のこと」は出来ないわけで、「今まで必死に練習してきた自分の力」を堂々と発揮することに集中するしかない。これが「無心」で臨むということなのだと思う。そしてこれはスポーツに限らず、何か大きなことに挑むときの真理であると私は思う。
みんなが腹を括ってフィールドに入り、自分たちの力を余すところなく発揮できるように支えたいと思う。
絶対に悔いの残らないゲームをする。そしてみんなとまた必死に次のステージに臨みたい。